
健康診断の結果を開くと、血圧の欄に「要注意」。コレステロールの欄にも、見慣れない記号がついている。とはいえ痛くもかゆくもないので、そのまま引き出しへ……。40代・50代の男性には、わりとよくある光景です。
一方で、夜のほうは少し気になっている。硬さが前ほどではない、途中で元気がなくなる。でも、それと健診の数字が関係しているとは、あまり考えません。
実は、高血圧やコレステロールの問題と、勃起の悩み(ED)は、同じ「血管」という一本の線でつながっています。この記事では、その関係と、今日からできること、そして薬や受診で気をつけたいことを順番にまとめます。
先に結論
- 勃起は血管の仕事。高血圧や脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常)は血管を傷め、勃起にも影響することがある
- 症状がないまま進むのが血圧とコレステロールの怖いところ。EDは、血管の変化に気づく早めのきっかけになりうる
- 血圧の薬は自己判断でやめない。ED治療薬を考えるときは、硝酸薬との併用禁忌など、必ず医師に確認する
勃起は「血管の仕事」
勃起は、性的な刺激をきっかけに陰茎の血管が広がり、そこへ血液が一気に流れ込んで、しばらくとどまることで起きます。主役は筋肉でも気合いでもなく、血管です。
血管の内側には薄い膜(内皮)があり、ここから血管を広げる物質が出ています。この膜が元気なら血管はしなやかに広がり、傷んでいると広がりにくくなる。陰茎の血管は細いため、この違いが表に出やすい場所だと考えられています。
高血圧が勃起に響く理由
血圧が高い状態が続くと、血管の壁はいつも強い圧力を受け続けます。すると、壁が厚く硬くなり、内側の膜も傷みやすくなります。いわゆる動脈硬化です。
動脈硬化が進むと、血管が必要なときに十分広がらず、流れ込む血液の量も減ります。陰茎でこれが起きれば、「硬さが足りない」「長続きしない」という形で表れることがあります。
やっかいなのは、高血圧そのものにはほとんど症状がないことです。「最近疲れやすい」「なんとなく元気が出ない」くらいで、はっきりした痛みはない。だからこそ放っておかれやすく、気づいたときには心臓や脳、腎臓の血管にも負担がたまっていることがあります。
コレステロール(脂質異常症)も同じ方向に働く
LDLコレステロール(いわゆる悪玉)や中性脂肪が多い状態が続くと、血管の内側に脂がたまり、血管が狭く硬くなっていきます。高血圧と同じく、症状はほとんどありません。
高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満は、それぞれが血管を傷める要因で、重なるほど負担は大きくなります。健診で二つ三つ「要注意」が並んでいたら、それは体からの、かなりはっきりした便りです。
EDは、血管からの「早めの便り」かもしれない
EDは、心臓や脳の血管の病気より先に表れることがある、という報告があります。陰茎の血管は心臓の血管より細いので、同じように血管が傷んでいくとき、先に症状が出やすいと考えられているからです。
つまり、夜の悩みを「年だから」で片づけてしまうのは、少しもったいない。健診の血圧やコレステロールの数字を見直し、必要なら治療を始めるきっかけにできます。EDと血管の関係は、EDと血管・生活習慣病の関係の記事でも詳しくまとめています。
まずは自分の血圧を知る
日本の高血圧の基準では、診察室で測って140/90mmHg以上、家庭で測って135/85mmHg以上が高血圧の目安とされています。病院だと緊張して高く出る人もいるので、家庭で測る習慣はとても役に立ちます。
- 朝:起きてから1時間以内、トイレを済ませ、朝食や薬の前に
- 夜:寝る前に
- 測り方:椅子に座って1〜2分落ち着いてから、腕に巻くタイプで測る
- 記録:1回の数字に一喜一憂せず、何日分かの流れで見る
記録したノートやアプリの画面は、受診のときにそのまま医師に見せられます。
今日からできる、血管にやさしい習慣
1. 塩を減らす
高血圧のいちばん身近な原因は、塩分のとりすぎです。日本の食卓は、味噌汁、漬物、麺類、加工食品と、塩の多い料理が並びがちです。
- 麺類のスープは飲み干さない
- 味噌汁は具だくさんにして、汁を少なめに
- 漬物や佃煮は「毎食」から「ときどき」へ
- しょうゆは「かける」より「つける」
2. 野菜・果物・魚・大豆を足す
減らすばかりだと続きません。野菜や果物、海藻、きのこ、魚、大豆製品、雑穀などを「足す」意識を持つと、自然と塩や脂の多いおかずが減ります。野菜や果物に多いカリウムは、余分な塩分を外に出すのを助けます。ただし、腎臓の病気がある人はカリウムを控えるよう指示されることがあるので、主治医の指示に従ってください。
3. 脂の多い食事と、炭水化物の食べすぎを見直す
揚げ物や脂身の多い肉、菓子パンやスナック菓子は、コレステロールや中性脂肪を上げやすい食べ物です。「脂っこいものは控えている」という人でも、白いご飯や麺の大盛り、深夜のシメのラーメンで中性脂肪が増えていることがあります。
4. 歩く、少し息が弾むくらいで
ウォーキングなどの有酸素運動は、血圧にも脂質にも、そして勃起にかかわる血管にもよい基本の習慣です。散歩より少し速く、会話はできるけれど少し息が弾む程度が目安です。できる日は30分、忙しい日は一駅分でも構いません。
余裕があれば、スクワットやかかと上げなどの軽い筋トレを週に2〜3回。ただし、息を止めて力む筋トレは血圧を急に上げます。声に出して数え、呼吸を止めないのがコツです。
5. たばこをやめる、お酒は控えめに
たばこは血管を縮め、傷めます。血管のために見直せることの中でも、いちばん大きなもののひとつです。お酒の飲みすぎも血圧を上げます。
6. 寒さと急な温度差に気をつける
寒いと血管は縮み、血圧が上がりやすくなります。冬の朝にいきなり外へ出る、暖かい部屋から寒い脱衣所へ移って熱い湯につかる、といった急な温度差は、心臓や脳の血管に負担をかけます。脱衣所を暖める、湯の温度はぬるめに、飲酒後の入浴は避ける、を習慣にしてください。
7. ひとりで抱え込まない
強いストレスや孤独感が続くことも、血圧や血管によくないと言われています。家族や友人と話す、散歩に出る、趣味の集まりに顔を出す。地味ですが、これも立派な血管ケアです。
血圧の薬と、勃起の関係
「血圧の薬を飲み始めてから、夜の調子が悪い気がする」という声を聞くことがあります。降圧薬の中には、種類によって性機能への影響が指摘されているものもあります。
ただし、だからといって自己判断で薬をやめるのは危険です。血圧が下がらないまま放っておくほうが、血管にはずっと悪い。気になるときは、処方した医師に「性機能への影響はありますか」と率直に聞いてください。薬の種類や組み合わせを見直せる場合もあります。医師にとっては珍しい質問ではありません。
健診の「要注意」を放置した私から
私は血圧ではなく、前立腺の検査(PSA)でした。2013年の健診で「要注意」と書かれ、それから3年間、数字が上がり続けるのを横目に放置しました。症状は何もなく、仕事は忙しく、「来年また測ればいい」と思っていたのです。結局、2016年に前立腺がんの手術を受けることになりました。
症状のない「要注意」ほど、先送りしたくなるものです。でも、数字は黙って体の中の変化を教えてくれています。血圧やコレステロールの欄に印がついていたら、どうか私のように引き出しにしまわないでください。私の10年間の記録は前立腺癌術後ED 10年の全記録に書きました。
受診の目安と、何科に行くか
- 健診で血圧やコレステロールの「要注意」「要受診」を指摘された
- 家庭で測る血圧が、何日も続けて高い
- 勃起の硬さや持続の変化が、数か月続いている
- 血圧の薬を飲み始めてから、性機能の変化が気になる
血圧やコレステロールは、かかりつけの内科で相談できます。勃起の悩みは泌尿器科やED外来のあるクリニックへ。すでに通院中なら、まず主治医に話すのがいちばんの近道です。
次のような症状は、迷わず救急車(119番)を呼んでください。
- 胸の痛みや締めつけ感、冷や汗、息苦しさ
- 片側の手足のしびれや力が入らない、ろれつが回らない、顔の片側がゆがむ
- 突然の激しい頭痛
ED治療薬を考える前に
高血圧や心臓の病気がある人ほど、ED治療薬は慎重に考える必要があります。とくに、狭心症などで硝酸薬(ニトログリセリンなど)を使っている人は、一緒に使うと血圧が急に下がり、命にかかわるおそれがあるため使えません。
また、一部の降圧薬や前立腺の薬と組み合わせると、血圧が下がりすぎてふらつくことがあります。血圧のコントロールが十分でない人、最近脳卒中や心筋梗塞を起こした人、重い心臓病がある人も、必ず医師の判断が必要です。使える条件や注意が必要な薬は、ED治療薬を使う前に確認したいことにまとめています。
体の変化が気になったときに
血圧やコレステロールの変化は、勃起の変化とつながっていることがあります。Bodyagainでは、ED治療や治療薬を検討する前に確認したい15項目を、無料のPDFガイドにまとめています。持病や服用中の薬、医療機関に相談する目安を、ご自身で整理するための一般的な情報です。
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まとめ
高血圧とコレステロールの問題は、症状がないまま血管を少しずつ傷めていきます。勃起は血管の仕事なので、夜の変化はその「早めの便り」になることがあります。まずは自分の血圧を知り、塩を減らし、歩き、たばこをやめる。血圧の薬は自己判断でやめず、気になることは主治医に率直に聞いてください。健診の「要注意」は、引き出しではなく、受診の予定表に入れましょう。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断、治療効果の保証、特定製品の推奨を行うものではありません。持病や服用中の薬がある方、体の変化が続く方は、医師または薬剤師へ相談してください。