梅毒の症状は? 中高年男性も知っておきたい性感染症と、検査・受診先の目安

梅毒の症状は? 中高年男性も知っておきたい性感染症と、検査・受診先の目安(イメージ写真)

「梅毒」と聞いて、教科書に出てくる昔の病気を思い浮かべる方もいるかもしれません。ところが日本では、ここ数年、梅毒の報告数が大きく増え、高い水準が続いています。ニュースで目にして、少しドキッとした方もいるのではないでしょうか。

性感染症は若い人の話、と思われがちですが、年齢で線を引けるものではありません。離婚や死別のあとの新しい出会い、パートナー以外との接触など、40代、50代、60代でも感染の機会はあります。しかも梅毒は、症状が出ても自然に消えてしまうことがあり、「治った」と勘違いしやすい病気です。

この記事では、男性に起きる梅毒の症状を時期ごとに整理し、ほかの主な性感染症、検査の受け方と相談先、予防の基本をまとめます。

先に結論

  • 梅毒は、痛みのないしこりやただれ、手のひらや体の発疹などで始まり、症状が消えても体の中で進むことがある
  • 血液検査で分かり、抗菌薬で治療できる。早く見つけるほど治療はシンプルになる
  • 心当たりがあれば、泌尿器科、性病科(性感染症内科)、皮膚科、または保健所の検査で相談を。パートナーも一緒に

梅毒とはどんな病気か

梅毒は、「梅毒トレポネーマ」という細菌による感染症です。性器や口、肛門などの粘膜や皮膚の小さな傷から入り込み、血液に乗って全身に広がります。性行為だけでなく、オーラルセックスやアナルセックス、キスなど、病変のある部分との接触でうつることがあります。

コンドームは感染を減らすうえで大切ですが、覆われていない部分の皮膚や口の接触でうつることもあるため、「コンドームを使ったから絶対に大丈夫」とは言えません。また、一度治っても免疫ができるわけではなく、再び感染することがあります。

男性に出る梅毒の症状(時期ごと)

第1期:感染から数週間後

感染した場所(陰茎、亀頭、包皮、口の中、肛門など)に、小豆くらいの硬いしこりや、ただれ(潰瘍)ができます。特徴は、痛みやかゆみがほとんどないことです。足の付け根のリンパ節が腫れることもあります。

やっかいなのは、このしこりやただれが、治療しなくても数週間で消えてしまうことです。ここで「なんだ、治った」と安心してしまう人が少なくありません。でも菌は体の中に残っています。

第2期:数か月後

菌が全身に広がると、次のような症状が出ることがあります。

  • 手のひら、足の裏、胸や背中などに出る赤い発疹(かゆみが少ないことが多い)
  • 発熱、だるさ、リンパ節の腫れなど、風邪に似た症状
  • 髪の毛がまだらに抜ける(虫食いのような脱毛)
  • 口の中の白っぽい斑点やただれ

この時期の発疹も、しばらくすると自然に消えることがあります。皮膚の病気や円形脱毛症と区別がつきにくいこともあるため、皮膚科で見つかるケースもあります。

潜伏期と、その後

症状が消えたあと、何年も目立った症状がないまま過ぎることがあります。治療しないまま長い年月がたつと、心臓や大きな血管、脳や神経などに障害が出ることがあります。また、時期に関係なく、菌が目や耳、神経に入り込み、視力や聴力の低下、頭痛、手足のしびれなどを起こすこともあります。

こうした進行した状態は、早い段階で治療すれば防げるものです。だからこそ、症状が消えても「本当に治ったのか」を検査で確かめることが大切です。

梅毒以外にも知っておきたい性感染症

症状が似ていたり、同時にかかっていたりすることもあるため、主なものを押さえておきましょう。

  • クラミジア・淋菌(尿道炎):排尿時の痛みやしみる感じ、尿道からの分泌物、尿道のかゆみ。のどに感染することもある。症状が軽く、気づかないこともある
  • 性器ヘルペス:ピリピリした痛みのあとに小さな水ぶくれやただれ。再発を繰り返すことがある
  • 尖圭コンジローマ:先のとがったいぼのようなできもの。原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)
  • HIV:感染してもしばらく症状がないことが多い。治療法が進歩しており、早く見つけて治療を続けることが大切
  • 毛じらみ:陰毛のあたりの強いかゆみ

HPVは、子宮頸がんの原因としてよく知られていますが、男性でも、のどや陰茎、肛門のがんとの関係が指摘されています。性の健康は、がん予防とも無関係ではありません。陰部のかゆみやニオイ全般については、陰部のかゆみ・ニオイの記事でまとめています。

よくある誤解

「ジムのタオルや便座でうつる?」

SNSでは、ジムのタオルでクラミジアがうつった、という話が出回ることがあります。でもクラミジアや淋菌、梅毒などの菌は、体の外では長く生きられず、タオルや便座、運動器具を介してうつることは、まず考えにくいとされています。主な感染経路は、あくまで性的な接触です。ただし、ジムでは水虫などの皮膚の感染症がうつることはあるので、自分のタオルを使う、といった基本の衛生習慣は大事です。

「症状がないから大丈夫」

性感染症の多くは、症状が軽かったり、まったくなかったりします。とくに女性は症状に気づきにくい病気が多く、知らないうちにパートナー間でうつし合っていることもあります。症状がないことは、感染していない証明にはなりません。

「スマホのアプリや自宅のキットで分かる?」

海外では、性器の写真から性感染症の可能性を判定するアプリが話題になったこともあります。郵送で検体を送る検査キットも市販されています。こうしたものは、きっかけとしては役立つかもしれませんが、診断の代わりにはなりません。陽性だった場合はもちろん、陰性でも気になる症状があるなら、医療機関で確認してください。性器の写真をネットに送ることには、個人情報の面での心配もあります。

検査の受け方と相談先

梅毒は、血液検査で調べることができます。ほかの性感染症も、尿検査や分泌物、のどのぬぐい液などで調べられます。

  • 泌尿器科:尿道の症状、陰茎や陰嚢のできものなど、男性の性感染症全般
  • 性病科・性感染症内科:複数の性感染症をまとめて調べたいとき
  • 皮膚科:体の発疹、脱毛、陰部のただれやできものなど、皮膚の症状が中心のとき
  • 保健所:多くの保健所で、HIVや梅毒などの検査を、匿名・無料で受けられる。実施している検査の種類や曜日、予約の要否は自治体によって違うので、住んでいる地域の保健所のホームページで確認を

知っておきたいのは、感染してすぐの時期は、検査をしても陽性に出ないことがあるという点です。心当たりのある接触からの日数を医師に伝え、必要なら時間をおいて再検査を受けてください。

受診のときは、いつ頃からどんな症状があるか、心当たりのある時期、服用中の薬、薬のアレルギーを伝えます。言いにくいことも多いと思いますが、医師はそれを責めるために聞いているのではありません。正確に伝えるほど、必要な検査を無駄なく受けられます。

治療について

梅毒は、抗菌薬で治療します。病気の時期によって、薬の種類や治療期間が変わります。治療のあとも、血液検査で経過を確認します。症状が消えても、自己判断で薬をやめず、医師の指示どおりに続けることが大切です。

海外では、性行為のあとに抗菌薬を飲んで性感染症を予防する方法が研究されていますが、日本で一般的に行われている方法ではありません。手元の抗菌薬を自己判断で飲むと、病気を見えにくくしたり、薬の効かない菌を増やしたりするおそれがあります。

パートナーのことも考える

性感染症と分かったら、パートナーにも検査を受けてもらう必要があります。自分だけ治しても、相手が感染していれば、またうつし合ってしまうからです。治療が終わり、医師から問題ないと言われるまでは、性行為は控えてください。

パートナーが妊娠中、または妊娠を考えている場合は、とくに大切です。妊娠中の梅毒は、おなかの赤ちゃんに影響することがあります。パートナーには、婦人科・産婦人科で相談してもらってください。伝えるのは気が重いものですが、責め合うより、二人の体を守るための話として切り出すほうが、結果的に関係も守れます。

予防の基本

  • コンドームを最初から最後まで正しく使う(オーラルセックスでも感染はありうる)
  • 不特定多数との性的接触を避ける
  • 心当たりがあるときは、症状がなくても検査を受ける
  • 陰部にできもの、ただれ、発疹があるときは、性行為を控えて受診する

「症状がないから」と先送りしないでほしい

私は、健康診断で前立腺の検査(PSA)の「要注意」を3年間放置しました。症状がない、忙しい、来年でいい。そう言い聞かせているうちに、2016年に前立腺がんと診断されました。性感染症と前立腺がんは別の病気ですが、「症状がないから」と体からのサインを先送りする気持ちは、とてもよく分かります。その後悔を知っているからこそ、心当たりがあるなら、早めに検査を受けてほしいと思います。

受診の目安

次のような場合は、早めに医療機関か保健所で相談してください。

  • 陰部や口、肛門に、痛みのないしこり、ただれ、できものがある(消えた場合も含む)
  • 手のひらや足の裏、体に、原因の分からない発疹が出た
  • 髪の毛がまだらに抜けてきた
  • 排尿時の痛み、尿道からの分泌物がある
  • パートナーが性感染症と診断された
  • 心当たりのある接触があり、不安が続いている

見え方や聞こえ方が急におかしくなった、強い頭痛や手足のしびれ・まひが出た、という場合は、すぐに医療機関を受診してください。

体の変化が気になったときに

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まとめ

梅毒は、痛みのないしこりやただれ、手のひらや体の発疹などで始まり、症状が消えても体の中で進むことがある感染症です。血液検査で分かり、抗菌薬で治療できます。中高年も無関係ではありません。心当たりがあれば、泌尿器科、性病科、皮膚科、保健所の検査で相談し、パートナーも一緒に検査を受けてください。「症状がないから」と先送りしないことが、自分と大切な人を守るいちばんの近道です。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断、治療効果の保証、特定製品の推奨を行うものではありません。持病や服用中の薬がある方、体の変化が続く方は、医師または薬剤師へ相談してください。