
以前は自然だった夜の誘いを、最近やんわり断られる。「疲れてるから」「また今度ね」。それが何度か続くと、男性は「もう女として見られていないのか」「自分が嫌われたのか」と考え込んでしまいがちです。
でも、妻が夜を避けるようになる理由は、夫への気持ちだけで決まるものではありません。50代前後の女性の体は大きく変わる時期にあり、痛みや体調、疲れ、言い出しにくい事情が重なっていることも多いのです。
この記事では、妻が夜を避けるようになったときに考えられる理由と、夫にできること、避けたいこと、婦人科への相談について、責めない・説得しないという立場でまとめます。
先に結論
- 妻が夜を避ける理由は、性交痛や更年期などの体の変化、疲れやストレス、気持ちの問題など、いくつかが重なっていることが多い
- 夫にできるのは、理由を問い詰めず「知ろうとする」こと。説得したり回数を求めたりするのは逆効果
- 痛みや乾燥、更年期の症状は婦人科で相談できる。必要なら夫婦で一緒に受診を考える
考えられる理由1:性交痛と体の変化
まず知っておきたいのが、性交のときの痛みです。女性は閉経の前後で女性ホルモンが大きく減り、膣の粘膜が薄く、乾燥しやすくなります。若い頃と同じように進めても潤いが追いつかず、ひりひりした痛みや、終わったあとの違和感が残ることがあります。
痛みの原因はほかにもあります。膣や外陰部の炎症や感染症、子宮内膜症などの婦人科の病気、骨盤の底の筋肉の緊張などです。一度痛い思いをすると、「また痛いかもしれない」という不安から体がこわばり、さらに痛くなる、という悪循環も起こります。
大切なのは、こうした痛みを本人が夫に言い出しにくい、ということです。「痛い」と言うと夫を傷つけるのではないか、がっかりされるのではないか。だから「疲れている」という言葉で断っていることもあります。
考えられる理由2:更年期の症状と体調
40代後半から50代にかけての更年期には、ほてりや発汗、不眠、だるさ、気分の落ち込みやイライラなど、さまざまな症状が出ることがあります。夜にほてりで眠れない日が続けば、性生活どころではありません。
更年期の症状は人によって大きく違い、本人もうまく説明できないことがあります。ほかにも、甲状腺の病気、貧血、うつ病、服用中の薬(抗うつ薬など)が性欲に影響することもあります。
考えられる理由3:疲れ、ストレス、負担の偏り
仕事、家事、親の介護、子どもや孫の世話。50代の女性は、家族のあれこれを一手に引き受けていることが少なくありません。一日の終わりに疲れ切っていれば、性生活の優先順位が下がるのは自然なことです。
海外の女性の健康の専門家は、「休暇中は気持ちが向くのに、ふだんは向かない」なら、日常のストレスが大きな原因かもしれない、と指摘しています。逆に言えば、負担が軽くなれば気持ちが戻ってくることもあります。
考えられる理由4:気持ちと関係の問題
- 日中の会話が減り、心の距離を感じている
- 家事や介護の負担を分かってもらえていないと感じている
- 誘い方がいつも同じで、気持ちが追いつかない
- 断ったときに不機嫌になられた経験があり、身構えてしまう
- 体型や年齢による体の変化に自信が持てない
- 性欲そのものがもともと少ない、あるいは年齢とともに落ちてきた
どれか一つが原因というより、いくつかが少しずつ重なっていることが多いでしょう。そして、どれも「妻が悪い」という話ではありません。
考えられる理由5:夫の側の変化
耳の痛い話ですが、夫の側に理由があることもあります。たばこやお酒のにおい、いびき、身だしなみ。誘うのは夜遅く、疲れたタイミングばかり。そして、意外と多いのが、夫自身の勃起の不安です。うまくいかなかった夜が何度か続き、夫のほうが無意識に避けていたり、妻が「夫を傷つけたくない」と気をつかって距離を置いていたりすることもあります。
夫にできること
理由を「知ろうとする」
まずは、責めずに理由を聞くことです。ただし、断られた直後や寝室で話すのは避けて、落ち着いている日中に。
- 「最近、体がつらいことはない?」と、体調を気づかう形で聞く
- 「どうして断るの」と問い詰めない
- 自分の気持ちは「寂しい」「心配している」と、自分を主語にして伝える
- 答えをすぐに求めない。話せるようになるまで待つ
切り出し方に迷ったら、たとえば次のような言い方があります。
- 「最近、疲れてるみたいだけど、体は大丈夫?」
- 「夜のこと、無理させてたら嫌だなと思って。何かつらいことがあったら教えてほしい」
- 「自分も年で体が変わってきてる。お互い、今のペースを話せたらいいなと思ってる」
ポイントは、「したい」という要求ではなく、「あなたの体と気持ちを大事にしたい」という姿勢を先に見せることです。一度で話がまとまらなくても構いません。話題にしていいのだ、と相手が感じられるだけで、最初の一歩としては十分です。
痛みがあるなら、まず止める
痛いと言われたら、その場で止める。これが何より大切です。そのうえで、時間をかけてゆっくり進める、市販の潤滑剤を使う、姿勢を変えるといった工夫で楽になることもあります。ただし、痛みが続く、出血がある、といった場合は工夫で乗り切ろうとせず、婦人科で相談してください。
婦人科への受診を一緒に考える
閉経後の乾燥や性交痛、更年期の症状は、婦人科で相談できます。症状や体の状態に合わせて、保湿や治療など、医師がいくつかの選択肢を示してくれることがあります。「年のせいだから」とあきらめている女性も多いので、「病院で相談できるらしいよ」と伝えるだけでも意味があります。
本人が望むなら、受診に付き添う、待合室で待つ、医師の説明を一緒に聞く、というのも一つの形です。ただし、行くかどうかを決めるのは本人です。無理に連れて行こうとしないでください。
挿入にこだわらない
手をつなぐ、肩をもむ、抱き合って眠る。挿入しないことを前提にした触れ合いなら、気持ちが楽になるという女性もいます。「最後まで」が毎回のゴールでなくなると、お互いのプレッシャーも小さくなります。
負担を減らす
家事や介護の負担が偏っているなら、それを減らすことが一番の近道かもしれません。「手伝おうか」と聞くより、自分の担当を決めて黙ってやる。疲れが減れば、会話も気持ちも戻ってきやすくなります。
自分の体も点検する
勃起の不安を一人で抱えているなら、泌尿器科で相談してみてください。夫の側の不安が減ることで、夫婦の空気が変わることもあります。
避けたいこと
- 説得する、回数を求める:理屈で説得されても、気持ちや体はついてきません。かえって関係が悪くなります
- 不機嫌になる、すねる:断るたびに気まずくなると、相手はますます身構えます
- 無理に求める:夫婦であっても、相手が望まない性行為はあってはならないことです
- 他の夫婦や昔と比べる:「普通の夫婦は」「昔は」という言葉は、相手を追い詰めるだけです
- 痛みを気のせいにする:痛みは体の変化であることが多く、我慢で解決するものではありません
私の場合:話題にしにくい時期があった
私自身、前立腺がんの手術のあと、尿失禁とEDに直面し、自分の体の変化を受け入れられない時期がありました。夫婦の間でも、この話題には触れにくい時期がありました。
振り返ると、すぐに答えを出そうとせず、体調と気持ちの変化を少しずつ共有していったことが、関係を立て直す土台になりました。夫婦のどちらの体にも変化が起きる年代です。どちらか一方の問題にせず、二人の問題として少しずつ話す。それが私の経験から言えることです。もちろん、向き合い方には夫婦ごとの違いがあります。
受診の目安
妻の側で、次のような場合は婦人科で相談を。
- 性交のときの痛みや乾燥が続く
- 閉経後に出血がある、性交後に出血がある(早めに受診を)
- おりものの異常、かゆみ、においが続く
- ほてり、不眠、気分の落ち込みなど更年期の症状で生活がつらい
気分の落ち込みが強く続く場合は、心療内科や精神科の相談先もあります。夫の側で勃起の変化や性欲の低下が続く場合は、泌尿器科やかかりつけの内科へ。夫婦の話し合いが行き詰まったときは、夫婦カウンセリングなど第三者の力を借りるのも一つの方法です。
夫がED治療薬を考える場合、狭心症などで硝酸薬を使っている人は、血圧が急に下がるおそれがあるため使えません。必ず医師に相談してください。
体の変化が気になったときに
妻が夜を避ける理由を考えるなかで、夫の側の勃起の変化に気づくこともあります。勃起の変化が続く場合は、年齢だけでなく、血管や持病、服用中の薬が関係していることもあります。
Bodyagainでは、ED治療や治療薬を検討する前に確認したい15項目を、無料のPDFガイドにまとめています。持病や服用中の薬、医療機関に相談する目安を、ご自身で整理するための一般的な情報です。
登録ページでメールアドレスを入力すると、確認メールをお送りします。メール内の確認URLを押すと登録が完了し、続けてPDFガイドのご案内が届きます。配信はいつでも停止できます。詳細はプライバシーポリシーをご確認ください。
関連記事:
まとめ
妻が夜を避けるようになった背景には、閉経前後の性交痛や乾燥、更年期の症状、疲れやストレス、気持ちの問題、そして夫の側の変化が重なっていることがあります。問い詰めず、説得せず、まず理由を知ろうとすること。痛みや更年期の症状は婦人科で相談できます。夫婦どちらか一方の問題にせず、二人のこととして少しずつ話してみてください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断、治療効果の保証、特定製品の推奨を行うものではありません。持病や服用中の薬がある方、体の変化が続く方は、医師または薬剤師へ相談してください。