糖尿病とEDの関係|血糖値が勃起に影響する理由と、今日からできること

糖尿病とEDの関係(イメージ写真)

「健診で血糖値が高めと言われたけれど、薬を飲むほどではないらしい」。そんな言葉に、少しほっとした経験のある方は多いと思います。

ところが同じ頃から、夜のほうがどうもおかしい。硬さが足りない、途中でしぼむ、そもそも気分が乗らない。年齢のせいだろうと思っていたら、実は血糖値が関係していた、ということは珍しくありません。

糖尿病とED(勃起の悩み)は、とても関係の深い組み合わせです。この記事では、なぜ血糖値が勃起に影響するのか、糖尿病の人が夜の生活で気をつけたいこと、今日からできること、受診の目安をまとめます。

先に結論

  • 高い血糖が続くと、勃起に必要な「血管」と「神経」の両方が傷みやすくなる。糖尿病はEDの代表的な原因のひとつ
  • 「予備群」の段階から血管への負担は始まっている。食べ方・歩くこと・睡眠で、できることは多い
  • 糖尿病の治療中なら、夜の生活でも低血糖に注意。ED治療薬を考えるときは、心臓の状態と併用薬を必ず医師に確認する

なぜ糖尿病でEDが起きやすいのか

勃起は、脳からの指令が神経を通って陰茎に届き、血管が広がって血液が流れ込むことで起きます。糖尿病は、この流れのいくつもの場所に影響します。

1. 血管が傷む

血糖が高い状態が続くと、血管の内側が傷み、動脈硬化が進みやすくなります。陰茎の血管は細いので、影響が表れやすい場所です。糖尿病の人は高血圧や脂質異常症を一緒に抱えていることも多く、血管への負担はさらに重なります。

2. 神経が傷む

糖尿病の合併症として知られる神経障害は、足のしびれだけではありません。勃起を指令する神経や、陰部の感覚にかかわる神経にも及ぶことがあります。刺激を感じにくくなる、射精がうまくいかなくなる、といった変化につながることもあります。

3. ホルモンや気持ちの変化

糖尿病や肥満のある男性では、男性ホルモン(テストステロン)が低めになりやすいことが知られています。性欲の低下や疲れやすさとして感じることがあります。毎日の血糖管理や食事制限の疲れ、気分の落ち込みが、夜の意欲をそいでしまうこともあります。

4. 一緒に抱えている病気や薬

肥満、高血圧、睡眠時無呼吸症候群、うつ病などは糖尿病と一緒に起きやすく、どれも勃起に影響しうる要因です。血圧の薬や抗うつ薬の一部も、性機能に影響することがあります。

こんな変化があったら、血糖値も疑ってみる

  • 硬さが足りない、途中でしぼむことが増えた
  • 性欲そのものが落ちた
  • 射精の勢いが弱い、精液がほとんど出ない感じがする
  • 陰部のかゆみや赤み、亀頭や包皮の炎症をくり返す(高血糖では感染症が起きやすくなります)
  • のどが渇く、トイレが近い、疲れやすい、体重が減ってきた

当てはまるものが多いなら、夜の悩みとしてだけでなく、血糖値を確かめるきっかけにしてください。

健診の数字の見方

健診では、空腹時血糖値とHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)がよく使われます。HbA1cは、過去1〜2か月ほどの血糖の平均的な状態を表す数字で、日本糖尿病学会の基準では6.5%以上が「糖尿病型」の目安とされています。

大事なのは、その手前の「高め」「予備群」と言われた段階です。この段階でも、食後に血糖が急に上がる状態をくり返していることがあり、血管への負担はすでに始まっています。「まだ糖尿病ではない」は、「何もしなくていい」という意味ではありません。

糖尿病の人が夜の生活で気をつけたいこと

低血糖に気をつける

インスリンや一部の飲み薬で治療している人は、体を動かしたあとに血糖が下がりすぎることがあります。性行為も、それなりに体を使う運動です。

  • 冷や汗、手のふるえ、動悸、強い空腹感、ぼんやりするといった症状が出たら、いったん中断する
  • ブドウ糖や砂糖を含む飲み物など、すぐ糖分をとれるものを手の届くところに置いておく
  • 空腹のまま、またはお酒を飲んだあとは、低血糖が起きやすく気づきにくい

運動と低血糖の注意点は、主治医から指示されている内容を優先してください。

パートナーの体のこと

糖尿病は、女性の性機能にも影響することがあります。痛みや乾燥、感染症をくり返すといった悩みがパートナーにある場合は、責めたり我慢させたりせず、婦人科・産婦人科への相談をすすめてください。

まれだけれど知っておきたい合併症

糖尿病と腎臓病が進んだ人では、ごくまれに陰茎の血管が石灰化して血流が途絶え、組織が傷む重い病気が報告されています。陰茎の強い痛み、治りにくい傷やただれ、皮膚の黒ずみが出たら、恥ずかしがらずにすぐ受診してください。

めったに起きない病気ですが、「糖尿病の合併症は目・腎臓・足だけではない」ということは覚えておいて損はありません。

今日からできる血糖ケア

1. 食べる順番を変える

野菜や海藻、きのこなどのおかずを先に、主食はあとに。それだけで食後の血糖の上がり方がゆるやかになりやすいとされています。満腹感も早く来るので、ご飯の量も自然に減ります。

2. 主食は量と「色」を見直す

白いご飯、パン、麺の大盛りや、ご飯と麺のセットは、血糖を上げやすい食べ方です。量を少し控え、雑穀や玄米、全粒粉のパンなど「茶色い主食」も選択肢に入れてみてください。朝のパンにジャムだけ、という日は、卵やヨーグルトなどのたんぱく質をひとつ足すだけでも違います。

3. 甘い飲み物をやめる

清涼飲料水や缶コーヒー、果汁ジュースは、気づかないうちに糖分をとる代表です。果物はジュースより丸ごと、そして食べすぎないことが大切です。

4. 食後に10分歩く

食後に少し体を動かすと、筋肉が血液中の糖を使ってくれます。会社の周りを一周する、階段を使う、椅子からの立ち座りをゆっくりくり返す。太ももやお尻など大きな筋肉を使う運動が向いています。治療中で低血糖が心配な人は、主治医に運動のタイミングを相談してください。

5. 寝る時間と起きる時間をそろえる

睡眠不足や、日によって寝る時間がばらばらな生活は、血糖のコントロールを乱しやすいと言われています。休日も起きる時間を大きく変えないことから始めてみてください。

6. たばこをやめる、お酒は控えめに

たばこは血管を傷め、糖尿病の合併症も進めます。お酒は量が増えると体重や血糖にも響き、空腹で飲むと低血糖の原因にもなります。

健診の「要注意」を放置した私から

私自身は、血糖値ではなく前立腺の検査(PSA)でした。2013年の健診で「要注意」と書かれながら、症状がないのをいいことに3年間放置し、2016年に前立腺がんの手術を受けました。術後は勃起の反応がまったくない時期を経験しています。

だからこそ思うのは、症状のない数字ほど、先送りしてはいけないということです。血糖値は、早く手を打つほど選べる手段が多い数字です。私の10年間の記録は前立腺癌術後ED 10年の全記録に書きました。

受診の目安と、何科に行くか

  • 健診で血糖値やHbA1cの「要注意」「要受診」を指摘された
  • 勃起の変化や性欲の低下が、数か月続いている
  • 陰部のかゆみや炎症をくり返す
  • のどの渇き、頻尿、体重減少など、高血糖を疑う症状がある

血糖値は内科や糖尿病内科で、勃起の悩みは泌尿器科やED外来で相談できます。糖尿病で通院中なら、主治医に「夜のほうも気になっている」と伝えてください。糖尿病の合併症のひとつとして、きちんと扱ってもらえる話題です。

次のような場合は、すぐに医療機関へ。意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が鈍いときは救急車(119番)を呼んでください。

  • 低血糖の症状があり、糖分をとっても良くならない、または意識がぼんやりしている
  • 胸の痛みや締めつけ感、息苦しさ
  • 陰茎の強い痛み、変色、治らない傷

ED治療薬を考える前に

糖尿病の人は、自覚症状がないまま心臓の血管に問題を抱えていることがあります。ED治療薬を考える前に、心臓の状態を含めて医師に確認してもらうことが大切です。狭心症などで硝酸薬(ニトログリセリンなど)を使っている人は、一緒に使うと血圧が急に下がり、命にかかわるおそれがあるため使えません。

また、糖尿病によるEDでは、治療薬の効き方が十分でないと感じる人もいます。その場合も自己判断で量を増やしたりせず、医師に相談してください。ED治療薬が効かないと感じたときの確認点や、ED治療薬を使う前に確認したいこともあわせてご覧ください。

体の変化が気になったときに

血糖値の変化は、勃起の変化とつながっていることがあります。Bodyagainでは、ED治療や治療薬を検討する前に確認したい15項目を、無料のPDFガイドにまとめています。持病や服用中の薬、医療機関に相談する目安を、ご自身で整理するための一般的な情報です。

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まとめ

高い血糖が続くと、勃起に必要な血管と神経の両方が傷みやすくなります。だからこそ、夜の変化は血糖値を見直すよいきっかけになります。野菜から食べる、主食と甘い飲み物を見直す、食後に少し歩く、寝る時間をそろえる。治療中の人は低血糖に気をつけ、ED治療薬は心臓の状態と併用薬を医師に確認してから。ひとりで悩まず、主治医や泌尿器科に話してみてください。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断、治療効果の保証、特定製品の推奨を行うものではありません。持病や服用中の薬がある方、体の変化が続く方は、医師または薬剤師へ相談してください。